時候の挨拶「秋」の例文集！9月・10月・11月の手紙やビジネスに使える文例まとめ

秋の手紙やメールに添える「時候の挨拶」は、9月・10月・11月と月ごとに表現を変えることで、より自然で美しい文章になります。

ビジネスの挨拶文では「秋冷の候」「錦秋の候」など格式ある言葉が好まれ、友人や家族への手紙では「秋晴れが気持ちいいですね」のように親しみやすい表現が適しています。

また、本文へ自然につなげるコツや、頭語から結語までを含むフルバージョンの文例を知っておくと、どんなシーンでも活用できます。

本記事では、秋の時候の挨拶を月別・シーン別に整理し、豊富な例文とともに紹介します。

「そのまま使える一文」を探している方も、「自分なりにアレンジしたい方」も、ぜひ参考にしてみてください。

秋の時候の挨拶とは？

まずは「秋の時候の挨拶」とは何かを見ていきましょう。

これは、手紙やメールの冒頭に添えることで、季節感や日本ならではの情緒を表す表現のことです。

形式的に感じるかもしれませんが、相手に「丁寧に心を込めている」という印象を与える大切な要素です。

手紙やメールにおける役割

時候の挨拶は、単なる文章の飾りではありません。

相手とのやり取りを柔らかく始める“クッション”のような役割を果たします。

いきなり本題に入ると唐突に感じられるシーンでも、時候の挨拶を添えると自然な流れが生まれます。

使用場面	効果
ビジネス文書	礼儀を示し、改まった雰囲気を演出できる
友人・家族への手紙	温かみを加え、親しみやすさを伝えられる
メール	短文でも丁寧さを補うことができる

秋ならではの特徴と表現の魅力

秋は、日本の四季の中でも特に言葉が豊かな季節です。

例えば「紅葉」「月見」「収穫」など、秋にしか使えない美しい言葉がたくさんあります。

こうした表現を取り入れることで、文章全体が一気に彩り豊かになります。

秋の時候の挨拶は、形式的な枠を超えて相手に心地よい印象を届ける“文化の知恵”なのです。

秋の月別・時期ごとの挨拶例文

秋とひと口に言っても、9月・10月・11月で表現は変わります。

同じ「秋の挨拶」でも、季節の進み具合を意識して選ぶとより自然で洗練された印象になります。

ここでは、月ごとに使える具体的な時候の挨拶の例文を紹介します。

9月（初秋）の時候の挨拶例文集

9月はまだ暑さが残りつつも、少しずつ秋らしい風を感じ始める季節です。

• 「初秋の候、いかがお過ごしでしょうか。」
• 「朝夕には涼しさが漂う頃となりましたが、変わりなくお過ごしですか。」
• 「新学期を迎える季節、気持ちも新たにお過ごしのことと存じます。」

時期	使える言葉	イメージ
9月上旬	初秋の候	夏の余韻を感じつつ秋の始まりを告げる
9月中旬	爽秋の候	爽やかな風が吹き始める様子
9月下旬	秋涼の候	過ごしやすい涼しさを表す

10月（仲秋）の時候の挨拶例文集

10月は紅葉や収穫の季節であり、秋らしさをもっとも感じられる時期です。

• 「仲秋の候、さわやかな秋晴れの日々が続いております。」
• 「実りの秋を迎え、皆さまますますご健勝のことと拝察いたします。」
• 「紅葉の便りが届く頃となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。」

時期	使える言葉	イメージ
10月上旬	秋晴の候	澄み渡る空と過ごしやすい日々
10月中旬	秋麗の候	穏やかで美しい秋の景色
10月下旬	深秋の候	秋が深まり冬の気配が近づく

11月（晩秋）の時候の挨拶例文集

11月は冬の入口を感じる時期で、落葉や肌寒さを表現に取り入れるのが自然です。

• 「晩秋の候、木々の葉が色づき、落ち葉の舞う季節となりました。」
• 「立冬を控え、朝夕の冷え込みが深まる頃となりました。」
• 「冬の足音が近づいてまいりましたが、変わらずお元気にお過ごしのことと拝察いたします。」

時期	使える言葉	イメージ
11月上旬	晩秋の候	秋の締めくくりを感じさせる
11月中旬	向寒の候	冬の訪れを意識する時期
11月下旬	落葉の候	木々が冬支度を始める情景

月ごとに適した言葉を選ぶことで、より自然で美しい文章を作ることができます。

シーン別で使える秋の時候の挨拶

秋の挨拶文は、相手や場面によって言葉選びを変えるのがポイントです。

ここでは、ビジネス・プライベート・メールやLINEといった3つのシーンに分けて、すぐに使える文例を紹介します。

ビジネスでのフォーマルな挨拶文例

取引先や上司への文書には、漢語調と呼ばれる格式ある表現がよく使われます。

• 「秋冷の候、貴社ますますご清祥のことと拝察申し上げます。」
• 「錦秋の候、貴社の一層のご発展を心よりお祈り申し上げます。」
• 「深秋の候、平素より格別のご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。」

表現	意味	使用シーン
秋冷の候	ひんやりとした秋らしい空気	契約書、案内状など
錦秋の候	紅葉が鮮やかに映える秋	取引先への挨拶状
深秋の候	秋が深まり冬を感じさせる頃	改まったお礼状

友人・家族へのカジュアルな挨拶文例

親しい相手への手紙やはがきには、柔らかく温かみのある表現が適しています。

• 「秋晴れが気持ちいい季節になりましたね。いかがお過ごしですか。」
• 「紅葉が美しい頃となりました。また一緒に出かけられる日を楽しみにしています。」
• 「読書の秋、音楽の秋、いろいろな楽しみを満喫しています。」

カジュアルな挨拶では、自分の近況を少し添えると文章に温かみが増します。

メールやLINEで使える簡単な文例

近年は手紙よりもメールやLINEでのやり取りが多くなっています。

その場合も、短くても季節感のある言葉を一言添えるだけで印象が変わります。

• 「朝晩すっかり涼しくなりましたね。元気にしていますか。」
• 「街路樹の紅葉がきれいで、すっかり秋を感じます。」
• 「今年も秋らしい空気が心地よい季節になりました。」

シーンに合わせて表現を選べば、同じ秋の挨拶でも相手に与える印象がぐっと良くなります。

フルバージョン例文集（冒頭から結びまで）

ここでは、頭語から時候の挨拶、本題へのつなぎ、結びの挨拶、結語までを含んだ「完成された手紙のかたち」を紹介します。

ビジネス・フォーマル・カジュアルの3パターンを例文として掲載しますので、そのまま参考にできます。

ビジネス文書のフル例文

取引先や顧客へ送る挨拶文の一例です。

拝啓　錦秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

さて、先般ご依頼いただきました件につきまして、資料を同封いたしましたのでご確認ください。

ご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にお申し付けください。

末筆ながら、貴社のさらなるご発展を心よりお祈り申し上げます。

敬具

ポイント	内容
頭語	拝啓、謹啓などを使用
時候の挨拶	錦秋の候、秋冷の候など
本文	用件を簡潔に伝える
結びの挨拶	相手の発展や安泰を祈る

フォーマルな私信のフル例文

先生や年長者など、敬意を込めたい相手に適した文例です。

拝啓　深秋の候、日ごとに秋の深まりを感じる今日このごろでございます。

ご無沙汰いたしておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

おかげさまで私どもは変わらず日々を過ごしております。

また近いうちにお目にかかれることを楽しみにしております。

まずは書中をもちまして、ご挨拶申し上げます。

敬具

カジュアルな手紙のフル例文

親しい友人や家族に向けた、やわらかい調子の例文です。

拝啓　秋晴れの気持ちよい季節になりましたね。

お元気にしていますか。

私は最近、近所の公園で紅葉を眺めながら散歩を楽しんでいます。

また一緒に出かけられる日を楽しみにしています。

季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切にお過ごしください。

敬具

フルバージョンの例文を知っておくと、用途に合わせて自在にアレンジできます。

文章を彩る秋の季語・キーワード一覧

秋の挨拶文に深みを出すためには、季語やキーワードを活用するのが効果的です。

ここでは、暦や行事に関する言葉と、自然や風物を表す言葉をまとめました。

そのまま挨拶文に取り入れると、季節感がぐっと豊かになります。

暦や行事に関連する言葉

秋は、行事や暦に由来する言葉が多く使われます。

• 十五夜（じゅうごや）：中秋の名月を楽しむ行事
• 十三夜（じゅうさんや）：十五夜に次いで月が美しいとされる夜
• 寒露（かんろ）：10月上旬から中旬にかけて、露が冷たく感じられる頃
• 霜降（そうこう）：10月下旬から11月初旬にかけて、霜が降り始める頃

季節	言葉	意味・イメージ
9月	十五夜	月を愛でる秋の代表的な行事
10月	寒露	秋が深まり朝夕の空気がひんやりとする頃
10月下旬	霜降	冬の到来を思わせる季節の区切り
10月末	十三夜	十五夜に次いで愛される月の行事

自然や風物に関する言葉

身近な風景や自然を描写する言葉を添えると、相手の心に映像が浮かびやすくなります。

• 紅葉（こうよう）：赤や黄色に色づいた木々の葉
• 金木犀（きんもくせい）：甘い香りを放つ秋の花
• いわし雲：魚のうろこのように見える雲
• 稲刈り：田んぼの実りを収穫する様子
• 秋祭り：地域で行われる伝統的な行事

表現	イメージ	使い方の例
紅葉の便り	木々が色づき始める情景	「紅葉の便りが届く頃となりました。」
金木犀の香り	秋の訪れを知らせる香り	「吹く風に金木犀の香りを感じます。」
いわし雲	秋の空に広がる雲の群れ	「空にいわし雲が浮かぶ季節となりました。」

こうした季語を一言添えるだけで、シンプルな挨拶文も一気に秋らしく仕上がります。

時候の挨拶を使う際のポイント

秋の時候の挨拶は便利ですが、使い方を誤ると不自然に感じられることもあります。

ここでは、誰にでも応用できる3つのポイントを紹介します。

季節感と実際の気候を意識する

時候の挨拶は、暦の上だけでなく実際の気候に合わせることが大切です。

例えば、9月の残暑が厳しい時期に「秋冷の候」と書くと違和感を与えてしまいます。

その年の気候に合わせて調整することで、自然で気持ちのこもった文章になります。

時期	避けたい表現	代わりに使える表現
9月上旬（残暑あり）	秋冷の候	初秋の候、残暑の折
10月中旬	晩秋の候	秋麗の候、仲秋の候
11月下旬	初秋の候	落葉の候、向寒の候

相手との関係性に応じた言葉選び

同じ秋の挨拶でも、ビジネスとプライベートでは使う言葉が変わります。

取引先や目上の人には漢語調（例：「錦秋の候」）、友人や家族には和語調（例：「秋晴れが気持ちいい季節になりましたね」）を使うと自然です。

相手の立場を考えて言葉を変えることが、心配りの表れになります。

本文へのスムーズなつなぎ方

時候の挨拶は、単独で終わらせるのではなく本題へと自然につなげることが大切です。

例えば「紅葉が美しくなってまいりました。さて、先日のご依頼の件ですが――」とすると、流れが途切れません。

挨拶から本文へ橋渡しできると、読み手にとって心地よい手紙になります。

まとめ｜秋の時候の挨拶を取り入れて心を伝えよう

秋の時候の挨拶は、初秋・仲秋・晩秋の移ろいを丁寧に表現することで、手紙やメールに豊かな彩りを与えます。

ビジネス文書では格式を重んじた漢語調、友人や家族にはやわらかな和語調、さらにカジュアルなメールやLINEでは一言の季節感が効果的です。

また、季語や行事を盛り込むことで文章がぐっと自然になり、相手に心地よさを届けられます。

挨拶は形式ではなく、相手を思いやる気持ちを伝えるための工夫です。

ぜひ今回紹介した例文を参考に、あなたの言葉で秋の季節感を手紙やメールに添えてみてください。